退院
退院の日、私の父が車で迎えに来てくれた。
しかも散髪までして。
主役は智礼と私とパパだっていうのに。
新生児室のカーテンが開くと見舞いの人がガラス越しに赤ちゃんを見られる。
入院していた5日間、私の家族は毎日、毎回カメラを構えた。
デジタルカメラ、普通のカメラ、ビデオ。
カーテンが開いている30分くらい、ピクリともせずに寝ている智礼を延々ビデオに
収めるパパ。
授乳時間にカメラを手渡して私に撮ってこいという。
お陰で私はカメラ小僧…。
おまけに家に帰ってからその日の智礼の映像をテレビ画面に映して観ていたという。
ただ寝ているだけなのに。
アクビをすれば「あっ、あくびした」
首を動かせば「あっ動いた」
変な家族。
こんな家族だから、ハンデのことは驚いたけれど、智礼の存在をみんなが喜んだ。
家に帰ると智礼を囲んで、その小さい人間を温かい目で見つめた。
泣くことも、手を動かすことも、オシッコをすることも、おっぱいを飲むことも
すべてに感動した。
智礼はみんなに愛されている。