闘う智礼
園庭で遊ぶ智礼の周りにはいつも年長さんが取り囲んでいた。
何も言わずにジッと見つめる子、手をどうしたの?と直接聞いている子、などなど。
子供に囲まれている智礼を私は遠くから見ている。時には智礼の視界の中で、たまには隠れて。
手を出して説明している智礼、手を隠して逃げる智礼、無視して自分の遊びに集中する智礼。
私がいることを意識している智礼、私がいないと思っている智礼。
自分から何かを言ってくることは無いけれど、私が見ている限りで手のことで泣いたのは一度だけ。
下を向いて一人でじっと涙をこらえて私の所に逃げてきた時だけ。
『智礼の手のことを何か言う人いる?』と聞くと、言われたことを教えてくれる。
『その時、智礼はどう思うの? どう答えるの?』と定期的に聞くようにしている。
今のところはきちんと答えてくれるが、聞かれるのが少し嫌な様子も見える。
ちなみに春頃の智礼の答えは『時々説明して時々逃げる』、
秋頃の智礼の答えは『しらんぷりする』だった。
智礼は小さな心で周りと闘っていると私は思った。