入園
智礼の通う幼稚園の年少組は青ぺんぎん・白ぺんぎん組の2クラスある。
誕生日順に並んでいる出席番号なので4月7日生まれの智礼は青ぺんぎん組の1番。
お陰で父兄の自己紹介もトップバッター。
どんな風に智礼を紹介すればいいのか何日も前から私は悩んでいた。
顔見知りのママさんに聞いてみると、兄妹構成や性格を話す人が多いらしい。
智礼の場合は障害について話して置いた方がいいかも、と思って
父母の会の先輩ママさんにも相談すると、その人も最初の懇談会で話したとのことだった。
とても自然に障害を伝えていたので当日はそのママさんの言葉を真似して自己紹介をした。
『智礼は生まれつき左手がありません。今までその手で何でもしてきました。
でもこれから幼稚園生活が始まってお友達に助けて貰うことも多いと思います。
お子さんと智礼の手のことをお家で話す機会がありましたら
産まれる前にお腹の中で怪我をしてしまったけれどその手で何でも出来るんだよと
話していただけると嬉しいです』こんな感じだったと思うけれど、
とても緊張していたのでよく覚えていない。
入園前の智礼はとにかくよく泣いていたので、幼稚園に行ったら友達に泣かされて
幼稚園に行きたくないとぐずるんだろうと思っていた。
ところがお迎えに行ったある日、先生が私を見つけて寄ってきておっしゃった。
『智礼君、元気が良すぎてお友達が泣いてしまって・・・』
私は目が点であった。
ウルトラマンに変身した(つもりの)智礼は戦いのポーズを取っては
お友達を怖がらせていたらしい。
5月頃はみんな幼稚園生活に慣れることで精一杯。
川崎から引っ越して友達と遊ぶことが少なかった智礼にとって幼稚園は
家にいても『七海のお世話で遊んでくれないママ』よりも楽しかったようだ。
登園時は振り返ることなく教室へ走っていき、お迎え時は窓に張り付いて私の姿を捜して
嬉しそうに手を振って駆け寄って来るものの、カバンを預けると園庭に遊びに走る日々だった。