妊娠初期

身体がだるいだけで、特に変化が無いのをいいことに普段通りの生活をしていた。

それでも朝目が覚めると胃がムカムカする。

起き抜けのチョコレートが欠かせなくなった。

会社に行っても午前中はだるくて仕方が無い。

午後の退社時間近くなると気分は良くなるが体の疲れが普段以上にあった。

妊娠が判明してから気になっていることがあった。

私は排卵日の頃、風邪気味で市販の風邪薬を一回分服用していた。

今思えば風邪症状ではなくて妊娠症状だったのかもしれない。

病院の先生はそんな私の話に次のように答えてくれた。

「市販薬は強くないから胎児に影響はないだろう。もし胎児が薬に冒されたとしたら、

妊娠に耐えられなくなって、流産してしまいます。」

実際、多くの女性が妊娠に気付かずに風邪薬を服用しているようだし、

その結果特に問題が起きることはないようで、私も気にすること無く妊娠生活を送った。

その他にも気になっていることが二つあった。

一つは、私はグルメではないが、珍しい食べ物を食べてみたい欲求に負けて、

カエルとスズメのから揚げを食べたこと。

もう一つは温泉。

結婚一周年の記念に温泉旅行に行った。

気分良く温泉から上がった私が脱衣所で髪を乾かしながら読んだ‘温泉の効用と注意’に

妊娠初期の長時間の入浴は避けること、とあった。

いつもと体調が違うので、のぼせやすいから気をつけるように、

ということだとは思うけれど気になっていた。

妊娠8週くらいになると、朝が起きられない。

目が覚めてすぐにチョコレートを口に入れても気持ち悪く、頭と肩がズーンと重く、

起き上がれない。

通勤は2つの路線を使うが、どちらも下り電車だったので車両を選べば毎日座って通勤できた。

それでも通勤は辛かった。

遅刻・休みが多くなり、私は上司に相談した。

私は会社にも上司にも恵まれていた。

「妊娠中期になれば体も落ち着くから、しばらく休んで大丈夫になったら

出勤したらいい」

お言葉に甘えて私は1ヵ月ちょっと会社を休んだ。

私はダンナさんにも恵まれていた。

朝は寝たまま「いってらっしゃい」 お弁当はなし、夕ご飯は「何か買って来て」

食欲の無かった私の食べられたものは、岩下の新生姜とキュウリのキュウチャンと

ミネストローネや野菜スープのレトルト物。

吐くのが苦手な私は気持ちが悪くても吐けない。

壁に寄りかかって必死に耐えていた。

結局一度も吐くこと無く悪阻を乗り切った私は、やはり悪阻が軽かったと言うのだろう。

 

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